けんちょんの競プロ精進記録

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AtCoder ABC 143 D - Triangles (茶色, 400 点)

教育的ないい問題!!!!!

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問題概要

 N 本の棒があって、それぞれ  L_1, L_2, \dots, L_N の長さをもっている。

このうちの 3 本を選ぶ方法であって、その 3 本で三角形が作れるものは何通あるか?

制約

  •  3 \le N \le 2 \times 10^{3}
  •  1 \le L_i \le 10^{3}

解法の overview

ものすごく色んな解法が考えられる問題だと思う。まずナイーブには  {}_{N}{\rm C}_{3} 通りの選び方を全探索する方法が考えられる。しかし  O(N^{3}) かかって間に合わない
(上手く枝刈りすると間に合ってしまったらしいが...)

そこで、こういうときによく考えるのが


3 つのうち、2 つを固定して考える


というあたり。とりあえず三角形の三辺を短い順に  a, b, c ( a \le b \le c) として、

  •  a, b を固定
  •  b, c を固定

といったあたりが思いつく。どちらでやっても解ける。ここでは  a, b を固定してやってみる。

解法 1: 二分探索

 L のうちの  a, b を固定すると、残りの辺  c の満たすべき条件は

  •  c \lt a + b

となる。下図のような感じ。 a = 4, b = 7 のとき、 a + b = 11 なので、 c のとりうる範囲は、下図のように

  •  b より右側
  •  11 未満の領域

ということになる。

ここで、 L のうち「最初に  a + b 以上になってしまうインデックス」は二分探索で求めることができる。lower_bound() とか使えば OK。

まとめると

  •  a, b を全探索
  •  L の中で最初に  a+b 以上になってしまうインデックスを求める
  •  c の動ける範囲がそれによって求まるので、合計していく

という風に解ける。 a, b の固定方法が  O(N^{2}) だけあって、それに応じて  c の動ける範囲を求めるのは二分探索で  O(\log{N}) でできるので、全体の計算量は  O(N^{2} \log{N}) となる。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
using namespace std;

int main() {
    int N; cin >> N;
    vector<long long> L(N);
    for (int i = 0; i < N; ++i) cin >> L[i];
    sort(L.begin(), L.end()); // L をソートしておく (二分探索に必要)

    long long res = 0;
    
    // a と b を固定
    for (int i = 0; i < N; ++i) {
        for (int j = i+1; j < N; ++j) {
            // c の動ける範囲の右端を求める
            int k = lower_bound(L.begin(), L.end(), L[i] + L[j]) - L.begin();

            // c の動ける範囲は、[j+1, k)
            res += max(k - (j+1), 0);
        }
    }
    cout << res << endl;
}

解法 2: しゃくとり法

解法 1 では  a, b を固定した。そこでは

  •  a, b を固定して
  •  c の動く範囲の右端 ( L の中で最初に  a+b 以上になってしまう場所) を求める

という風にしていた。ここでもっと突き詰めて

  •  a を固定する
  •  b を動かしていくと、 c の右端が右へと単調にズレていく

ということがわかるので、しゃくとり法を使うことができる。

つまり、初期設定として、b を a の場所に、c を b の場所に設定しておいて、


  • b を右に動かす
  • c >= a + b になるまで c を右に動かす

をくりかえせば OK。計算量は各  a に対して  O(N) でできるので、全体として  O(N^{2}) となる。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>
using namespace std;

int main() {
    int N; cin >> N;
    vector<long long> L(N);
    for (int i = 0; i < N; ++i) cin >> L[i];
    sort(L.begin(), L.end()); // L をソートしておく

    long long res = 0;
    
    // a を固定して、(b, c) をしゃくとり法
    for (int i = 0; i < N; ++i) {
        int k = i;
        for (int j = i+1; j < N; ++j) {
            while (k < N && L[k] < L[i]+L[j]) ++k;
            res += k - (j+1);
        }   
    }
    cout << res << endl;
}

解法 3: L が小さいことを活かして累積和

今回の問題は  L の制約がとても小さいことがわかる。こういうときに、たとえば

  •  L = (1, 0, 1, 1, 3, 4)

とかに対して

  •  C = (1, 3, 0, 1, 1)

とかにするのをよくやる。C[ i ] は、L の中に i が何個あるのかを表す。これのメリットは、


  • L の中で x 以上 y 未満の値が何個あるのかが、累積和を使うと簡単にわかる。

  • 具体的には C の累積和を S とすると、S[ y ] - S[ x ] で求められる


というもの。そして解法 1, 2 と違って、 a \le b \le c を仮定せずに求めて、最後に 3! = 6 で割ることにする。

一般に三角形の三辺  a, b, c に対して三角形になるための必要十分条件は、

  •  {\rm abs}(a - b) \lt c \lt a + b

と表せる。ここでは  a \le b \le c を仮定していないことに注意。これを利用して


  •  a, b を固定する
  • そうすると  c の満たすべき条件は  {\rm abs}(a - b) \lt c \lt a + b と簡単に表せるので、これを満たす  c の個数は、累積和を使って S[  a + b ] - S[ abs( a - b) +  1 ] と求められる!!!
    • ただし、この  c の範囲に  a b も含まれていたらその分を減らす

という風にすれば OK。計算量は、累積和計算に  O(\max{L})、その後の処理に  O(N^{2}) となる。

#include <iostream>
#include <vector>
#include <cmath>
#include <algorithm>
using namespace std;

const int MAX = 2100;

int main() {
    long long res = 0;
    int N; cin >> N;
    vector<long long> L(N);
    for (int i = 0; i < N; ++i) cin >> L[i];

    // C, S
    vector<long long> C(MAX, 0), S(MAX+1, 0);
    for (int i = 0; i < N; ++i) C[L[i]]++;
    for (int x = 0; x < MAX; ++x) S[x+1] = S[x] + C[x]; // 累積和
    
    // a と b を固定
    for (int i = 0; i < N; ++i) {
        for (int j = 0; j < N; ++j) {
            if (i == j) continue; // 同じものは選ばない
            
            // c の満たすべき値の区間を [left, right) で表す
            int left = abs(L[i] - L[j]) + 1;
            int right = L[i] + L[j];

            // 累積和で個数を求める
            int count = S[right] - S[left];
            if (left <= L[i] && L[i] < right) --count;
            if (left <= L[j] && L[j] < right) --count;

            res += max(count, 0);
        }
    }
    cout << res/6 << endl;
}