けんちょんの競プロ精進記録

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AtCoder ABC 183 D - Water Heater (茶色, 400 点)

条件反射でいもす法!!!

問題概要

 N 人がいる。 i 人目の人は、時刻  S_{i} から時刻  T_{i} の間で、毎分  P_{i} リットルずつお湯を使う。

どの時刻においても、使用されているお湯の合計量が、毎分  W リットル以内におさまるかどうかを判定せよ。

制約

  •  1 \le N \le 2 \times 10^{5}
  •  0 \le S_{i} \lt T_{i} \le 2 \times 10^{5}

考えたこと

大きさが  M = 2 \times 10^{5} の配列を考えて、初期状態は全マスの値が 0 としておく。

この配列に対して、 N 個のクエリが飛んできて

  • マス  S_{i}, S_{i}+1, \dots, T_{i}-1 の値を一様に  P_{i} だけ加算する

という処理をこなしていく。そして最後に、配列のすべてのマスの値が  W 以下になるかどうかを判定すればよい。

愚直にやると  O(N + MQ) の計算量を要してしまうので間に合わないが、いもす法を用いることで高速化できる!!

いもす法

いもす法とは、 N 個の区間を配列に足し上げた結果を高速に求める手法である。区間  \lbrack S_{i}, T_{i}) に値  P_{i} を足すとは、下図のように

  •  S_{i} 番目の隙間に「+ P_{i}」という処理を予約しておく
  •  T_{i} 番目の隙間に「- P_{i}」という処理を予約しておく

という風にしておいて、最後に左から足しあげる (累積和をとる) ことで実現できる。

区間の個数が  N 個になっても同様にできる。 N 個の区間それぞれに対して、「+ P_{i}」と「- P_{i}」をそれぞれ予約しておいて、最後にまとめて左から足しあげれば OK。このようにすると計算量は次のようになる。

  • 予約パート:各区間に対して配列の 2 箇所にしか値を足し引きしないので、 O(N)
  • 最後に足しあげるパート: O(M)

よって  O(N+M) でこの問題が解けることがわかった。

コード

#include <bits/stdc++.h>
using namespace std;

const int MAX = 210000;
int main() {
    long long N, W;
    cin >> N >> W;
    auto solve = [&]() {
        vector<long long> num(MAX+1, 0);
        for (int i = 0; i < N; ++i) {
            long long s, t, w;
            cin >> s >> t >> w;
            num[s] += w, num[t] -= w;
        }
        for (int v = 0; v < MAX; ++v) {
            num[v+1] += num[v];
            if (num[v] > W) return false;
        }
        return true;

    };
    cout << (solve() ? "Yes" : "No") << endl;
}